2010年01月23日
ベトナム料理への道②
「いつだって故郷を捨てる者は後ろめたい勝利感がある」って書いたあったのは
志水辰夫の傑作「尋ねて雪か」のワンシーンでしたっけ。誰も知らないか。
別に故郷を捨てたわけじゃありませんが18の歳に上京し、以降なんとなく関東モンのふりをして居ついておりますw
人ごみに流されて変わってゆく私を遠くで叱ってくれる人間もいないため、田舎にいた時は口にすることができなかったベトナム料理(と、他国の料理)食べ歩きをダラダラと開始。新宿御苑の「ミュン」、池袋西口の「サイゴンレストラン」、東口の「ミュン」、代々木の「アンコールワット」・・・・(今では閉店してしまったお店もありますねえ。思えば遠くへきたもんだ)学生の身分には少々お高い値段でしたが、ベトナムの風土をボンクラ頭の中で構築しつつ「むはむは」と椎名誠のようにかっ喰らったり、映画「地獄の7人」の訓練キャンプを脳内再生して「うえぇ、毎日このベトナム料理かよ」と悪態をついてみたり。
とても気持ちの悪い客だったんでしょうねえ、今考えてみると。ひでえな俺。
その頃は「333」をバーバーバーと読む日本人客は少なく、「バーバーバーを一つ」などと注文すると、無愛想なベトナム人のおばちゃんがニッコリと笑ってサービスが急に良くなったりしたものです。
このバーバーバーと読む人間が少なかった、というのは当時の日本人にベトナム料理およびベトナム文化がそれ程浸透していなかった事を示唆しています。まあ、南ベトナムの歴代大統領をちゃんと順番どおり言えたりするサケスキーさんみたいな剛の者は別にして、今だってそんなにベトナム文化・歴史は日本人の中に浸透していませんが・・・。
お店めぐりをしているうちに薄々とそのことに気がつき始めた私は、ある人との出会いからベトナム料理を「作る」側に廻るのでした。(③に続く)
サイゴン料理って素敵な響きですねw